ちょっとした知り合いに風変わりな男がいる。
詳しくは書けないのだが60代半ばで体格は太目。短く刈り上げた髪の毛で、ぱっと見はコワモテ。
誰に対してもぶっきらぼうな語り口でわがままだけど、慣れるとどこか憎めない愛嬌がある。
彼には両脚が無い。
糖尿病が酷くて膝の上から切断されたのだ。
が、とにかく明るく悲壮感が一才漂って来ない。
自由奔放に生きてきた男のようだ。
大抵は奔放に生きていると他の誰かを傷つけていたりするものだけど、彼にはそういう気配はない。
ここ数年は長いこと入院をしているのにも関わらず週末になると必ず誰かが見舞いに行っては気晴らしに病院外へ連れ出しているらしい。
その都度、外食をしてきて血糖値が上がって医者やナースに小言を言われているようだけど😅
何となくナースの対応を見ていても愛されている。
ハンサムでも無いし、愛想がいいわけでも無い。
家族もいないし、財産があるわけでも無い。
両足が無いから移動は車イスなので出先でも何かと連れ出す方も結構な手間が掛かる。
だからと言って彼は友人に遠慮したりもしない。
が、彼を遊びに連れ出してくれる友人が常にいる。
人間としての魅力が輝き続けているのだと思う。
彼を見て思ったのは、自分が年老いたり彼と同じような状態になった時に損得なしに遊びに連れ出してくれる友人がはたしてどれだけいるだろうか…
ちょっと彼のことが羨ましく感じられた。
歳を取ると、色んなところが劣化する。
見た目なんかはもちろんそうだ。
大抵の人は、歳とともに頑固になったりもする。
そして、だんだんと疎まれるようになる。
歳をとった時に失われるモノ以上に残る人間性の根っこの部分が魅力的な人物でいたいなって思った。
Midas