メルセデスAMG GTSは買いか?

AMG

バブル期にはブルーブラック外装色のAMGが強烈なオーラを放ち一世を風靡しましたね。ある意味近寄ってはいけない車として。。

最近ではメルセデス・ベンツ内のブランドとして車種のバリエーションも増えて以前より随分敷居が低くなりましたが、

どちらかというと、ピュアスポーツカーというより強力なパワーを全面に押し出したマッシブな車という印象です。

AMG GT

AMG GTS

AMG GTS

外見上は、ロングノーズ&ショートデッキのクラシカルなFRスポーツカーのアイコンですね。

実際に乗ってみるまでは、2シーターFRということでSLの延長線上にあるラグジュアリーなスポーティーなベンツかなという印象でした。

個人的な結論から言いますと、この車はリアルスポーツカーです。

ラグジュアリーなシートにお尻を預けて優雅に(ダラダラと)運転してパッセンジャーシートに座る綺麗なお姉さんと会話等を楽しむ車では、

決してありません。刻々と変わる路面状況による車の挙動変化に神経を研ぎ澄まして乗る硬派なスポーツカーです。

と言っても燃費走行も出来る柔軟性も持っており高速ではリッター10キロは走ります。

東京からだと鎌倉や湘南方面へのこの時季のドライブは道も混んでいなくて楽しいですね。

AMG GT@片瀬海岸にて

AMG GT@片瀬海岸にて

AMG GTの価格レンジは、

462馬力のGTが、1650万円(消費税込み)

510馬力のGTSが、1930万円(消費税込み)

AMG GTの価格帯で対抗馬となるのは、

ポルシェ911カレラや911カレラSでしょうね。

911カレラが、370馬力で1309万円

911カレラSが、420馬力で1584万円

両車PDKの値段ですが、ポルシェの場合、標準装備がプアですからオプション込みの新車乗り出し価格では、

911カレラが、AMG GTと同等

911カレラSが、AMG GTSとほぼ同等となるでしょう。

ポルシェ911については、言うまでもなく万能なスポーツカーと言えるでしょう。タイプ991になってからの乗り心地も抜群に良いですしエギゾースト音も良くなりましたよね。

あえてのネガを挙げるとすると、エンジンのターボ化によって911ターボとの差別化がよくわからなくなったのと、車種が多すぎてチョイスに迷うことでしょうか?

さらに言ってしまうと、都心部ではポルシェ911はそこら中に走っているので没個性でしょうか。逆にそこが良いとも言えるのかもしれませんが。

サイズ的には、ポルシェの方が全長は5センチ短く、全幅は13センチも小さく全高はほぼ同じです。

都会でのパーキング等の取り回しを考えるとポルシェに軍配が上がることは間違いありません。そして室内はポルシェの方が広いし使いやすいですね。

最新のフェラーリとAMG GTを乗り比べると、AMG GTのサイズは都内でも非常に乗りやすく感じてしまいますがね。

AMG GTですが、

まず乗り込むには幅広なサイドシルを跨がなければなりませんし、サイドシルが地面より高い位置にありますのでお尻から入るにしても足から入るにしてもコツが要ります。

AMG GTSのドライバーズシート

AMG GTSのドライバーズシート

まさにスポーツカーに乗り込むちょっとした儀式ですね。

また降車時ですがどうしてもサイドシルを跨ぐ時にパンツの膝後ろを擦ってしまうので、車が汚れている時には要注意です。ここだけでフェラーリやポルシェよりスポーツカーの雰囲気は十分ですね。

このAMG GTSにはフルレザーパッケージ(363,000円)のオプションが入ってまして、極太のアルカンターラのステアリング、気分はレーシングマシンです。

そしてこのAMGパフォーマンスシートなんですが、タイトなホールド感で座り心地は固めです。特に背中の部分がしっかりした印象です。

ドアを閉めるとタイトな空間で前方に広がる視界の狭さと相まってまさにコックピットという印象です。前方視界の雰囲気はランボルギーニ・アヴェンタドールと同じと言えばわかっていただけるでしょうか? ただし車幅はそれほどではありませんので都内の道路でもアヴェンタドールより確実にアクセルを踏めます。

乗り心地については、正直言って硬いです。フェラーリ、ランボルギーニやポルシェの比ではありません。

AMG ダイナミックセレクトには、Comfortもあるのですが乗り心地は硬いです。

路面に凹凸があるとダイレクトな突き上げがあります。高速道路での段差、特にコーナーリングにおける段差では車の挙動変化を予測しながらドライブする必要があります。モードをSportやSport+にするとダンパーがさらに締め上げられ硬くなります。

ハンドリングですが、これはスポーツカーとしては軽すぎるのでは??と思います。

特にComfortにおける低速域はスポーツカーのハンドリングだとは思えないほどです。しかし、Sport+での高速道路での高速コーナーはとにかくステアリングの舵角に対する鼻先の応答速度が速いのでコーナリング時に舵角が決まればスパッと気持ちよく曲がりますよ、この感じはフェラーリ812Superfastと非常に似ています。つまりComfortではわざと乗用車的なハンドリングにしているのでしょう。このあたりは慣れや好みによるところが大きいかと思いますが、AMGではこう考えているということなのでしょう。

ラゲッジルームですが、意外と広いです。ゴルフバック2つ縦置きで大丈夫です。早朝にゴルフ場までの高速道路とワインディングのドライブを楽しみ、ゴルフを楽しむという使い方にも十分答える車だと思います。

AMG GTのラゲッジルーム

AMG GTのラゲッジルーム

そしてこのリヤのテールゲートですがファミリーカーのようなフットトランクオープナーも付いているので使い勝手は良いですね。ただし同乗者がいれば荷物をいちいちリヤゲートをオープンするのはちょっと面倒ですが。。

エンジンですが、510馬力は十分なパワーで、十分なトルクと相まってどこからでも加速します。ターボラグもほとんど感じませんでした。強いて挙げるならATモードで走っていてシフトダウンしてもまだエンジンが低回転域の状態でアクセルを踏み込むとエンジンのもたつき、ターボラグ?を感じました。

シャーシ性能ですが、コーナリングの限界値は高そうですが、この車はドリフトマシンだと思います。リアアクスルのちょっと前に自分のお尻があるわけですからリヤの滑り具合がお尻センサーにダイレクトに伝わってきます。硬いサスペンションもそのあたりが関係しているのでしょうか?硬い乗り心地ではありますが路面状況が良いと抜群に気持ちよいです。是非ともサーキットで乗ってみたいと思わせるハンドリングとシャーシ性能です。Sport+モードはとにかく面白いです。スポーツカー好きならこのモードで固定でしょうね。

ブレーキですが、カーボンセラミックはオプションです。(1,028,500円)ノーマルブレーキはABSの効きが早いかなと思いました。

最後にどういう人がこの車に向いているか考えてみました。余計な御世話ですが。

普段はメルセデスのGクラスとかSクラスに乗り、2台目としてピュアスポーツカーを欲している人でしょうね。メルセデスの最先端インフォティメントの操作系は同じなので、乗り換えても違和感はありません。ただしシフトノブは左肘の奥にあるのでちょっと左肩の柔軟性が必要ですね。

さらにお薦めしたいのは新しいものが好きな人でしょう。とにかく街中でもどこでも目立ちますしよく話しかけられました。高速道路ではこの迫力あるマスクで前走車は快く道を譲ってくれます。

私自身はこのAMG GTにメルセデスの伝説のピュアスポーツカー300SLのPhilosophyを大いに感じましたね。

メルセデスSL

メルセデス300SLロードスター

AMG GTの最大の弱点は、新車で買うには勇気がいることですね。

リセールの悪さはやはり気になります。手に入れるなら流通量もそこそこあるようなので今なら程度の良い中古でしょう。

ある意味、世間に知られていない今が手に入れるチャンスなのかもしれません。

500馬力は、ほんとちょうどいいパワーで楽しい車ですよ。

ご興味のある方はAMG-GT

 

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